金属疲労

夜中に何かが落ちるような「ドサッ」という音で目覚めた。洋服ダンスの方向だったのでタンスの扉を開いてみると、服を吊り下げているスチール製パイプが落ちていた。
横棒パイプは、両端を金属製の吊下げ金具で支えられている構造だが、片方の金具が折れてパイプが外れて掛けてあった服が落ちた状況だった。緊急性はないのでそのまま眠りについた。
ホームセンターで同様な金具を購入して修理を始めた。タンスは結婚と同時に購入したもので40年経過している。40年間ずっとハンガーにかけられた服の重さを耐えてきたためにいわゆる金属疲労を起こして折れたものだ。
古い金具を取り外すのに一苦労、ネジの頭も劣化してドライバーの方が強くてネジ穴が潰れて(なめて)外せない。力ずくで何とか折れた。新しい金具をつけ終わるころには、全身汗だくになっていた。
40年経過による金属疲労である日突然に折れる。この折れる瞬間にどんな刺激が加わったのだろう。地震とか扉を開けた瞬間とか何らかの物理的な力や刺激が加わらなくても「寿命」を迎える道理を感じた。
世の中には人知れずして修理されたものや作られたものが、かなりあると思われる。やった人だけしか知らず、その人も忘れてしまえば、謎の珍百景になってしまう。
これからやりますよ、私がやりますよ、やりましたよ。と知られているものは歴史に残るが、そうでないものは、だれも気づかない。
今回の金具交換もだれも知らないから、初めからこの金具だったと思うほうが自然でもある。
私たちが快適で便利な生活を送れるのも汗だくになって黙々と仕事をやってくれた人たちのお陰であることを忘れてはならない。

投稿者: sasuraig

鹿児島在住。座右の銘は「器用貧乏」 なんでもそれなりにできますが、極めたものはなに一つありません。

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